オランダへようこそ
TBSドラマ『コウノドリ2』、先日最終回を迎えました。
毎回泣けるドラマ、毎回考えさせられるドラマ・・・素晴らしいドラマでした。
最終回の中で紹介された【オランダへようこそ】という詩。
とても心にしみたので、ブログに記録しておきたいと思います。
健常児と障害児の育児の違いについて、長年私が思っていたことを
この詩が代弁してくれたような感じでした。
「障害」と聞くと、とても大変なイメージを持ってしまうし、実際大変なのだけれど、
かといって健常児を育てることが“簡単”ということではないと思うんです。
そりゃあ比べたら障害児の方が大変かもしれないけれど、
大変な分、得られるもの・気付かされることも多いのではないでしょうか。
どんなこともそうですが、どこに視点を置くかでそのものの見え方が変わってきます。
そして、それは実際に経験してみないとわからないことでもあります。
想像だけでは不安ばかりが先走ります。
この詩のように、予想外の状況を楽しめたら素敵ですよね。
私は実際に『オランダ』を経験しました。
『イタリア』だったらどうだったんだろう・・・と思った時もありましたが
今では『オランダ』でよかった!!と心から思えます。
~オランダへようこそ~
私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。
そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。
赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。 例えば、旅先はイタリア。山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。とてもワクワクします。
そして、何カ月も待ち望んだその日がついにやってきます。 荷物を詰め込んで、いよいよ出発。数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。 そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。「オランダへようこそ!」 「オランダ!?」 「オランダってどういうこと?? 私は、イタリア行の手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」
でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。あなたは、ここにいなくてはなりません。 ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。 ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。
だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。 それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。 そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。 ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。 イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。
でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、オランダには風車があり、チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。
でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったり来たりしています。そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。 きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。
心の痛みは決して、決して、消えることはありません。 だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。
でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、心から楽しむことはないでしょう。